【 医院開業コンサルタントの利用効果の検討 】
色々な意見があります。 それぞれ一面を当てています。 ただ、結論は、先生の考え方次第でしょう。
コンサルタントも色々問題があり、余り価値が無いと考える先生は自分で開業準備をすればいいでしょう。
「いや、コンサルタントは価値がある」「要は使い方だ、慎重にコンサルタントの情報を集め、十分吟味して選定すれば
結果としてメリットが多い」そう考える先生はコンサルタントを使えばいいのです。 そこで、開業支援コンサルタントを
使う場合の注意点を2、3点お伝えしましょう。
(1) 「タダ」より高いものはない
開業支援コンサルタントを依頼する必要があるとすれば、どういった視点で選べばよいかと言う点について
簡単に述べます。
首都圏では開業支援コンサルタントは一般的な存在になっています。 しかし、例えば東北や九州では有料の開業支援コンサルタントは少ないようです。 これはリース会社や建設会社、医薬品卸会社、医療機器卸会社などがサービスとして“無料(タダ)”で開業支援を行っているからです。
このような開業支援を「無料だし、気軽に利用できるから便利だ」と考えるでしょうが、開業準備の作業は種々雑多でその作業量は膨大です。こうした現実的な各種作業があるわけですから、本来“無料”などはありえないのですが、直接に支払いがないと、なんとなく得した気 になります。 しかし、その費用はコンサルティング以外のその業者の本来業務の中に、しっかりコスト化されて回収されています。 つまり“けっして無料ではない”と考えてください。
結局は対価を払うのですから、問題はそのコンサルティングの中身です。 仮にすべて自分自身で開業準備をする場合、開業支援コンサルタントが行う以上の価値を生み出せるかどうかがポイントになります。
例えば、開業場所選定、事業計画の立案、資金調達、建築・内装準備、人事計画、広告宣伝 等々、コンサルタントの行う仕事よりも「自分のほうが上手くできる」と思われる場合は、当然 開業支援コンサルタントを使う必要はありません。 「全く判らん」「面倒だ」「時間がもったいない」と言う時は、コンサルタントを使うべきでしょう。
又「一部は判るが全ては無理」と言う場合は、その判らない開業準備部分をコンサルタントを利用し開業準備を効率且つ問題なく行うべきです。 つまり、開業支援コンサルティングの内容をきちんとチェックし、その対価も含めてしっかり検討する必要があります。 開業準備は、先生の人生がかかっているのですから慎重にも慎重を期すべきです。
無料の開業支援コンサルティングは本業が成り立てさえすればいいという判断があるので、中途半端な場合が多く、やはり注意が必要です。 有料のコンサルティングは、どこまでするのかという範囲と、本当にそれだけの能力があるのかを吟味し、その対価の当否を慎重に決めましょう。
(2) コンサルティング会社の見きわめ方
医療コンサルタントを標榜する会社は多々あります。先生方に注意して欲しいのは、そのコンサルティング会社がどんな系列の会社なのかをじっくり見きわめることです。そうすることで開業準備のどの分野が得意なのか 、本当に頼んでも大丈夫なのか がわかってきます。
【建築・住宅会社系コンサルタント】
この業界の方々は、目的が自社の仕事である建築が仕事として取れればいいので、やや言いすぎですが建てればそれで終わりです。事業計画はやや雑な部分があるでしょう。先生方の開業後のクリニック運営および経営のコンサルティングをするわけではないので、失敗したときは「それは先生の技術なり、キャラクターが悪い」ということになります。
開業後の運営や経営の面倒を見ている建設・住宅会社系コンサルタントの存在はわずかです。クリニックを建てるまでのコンサルタントとしては、そこそこ有益ではありますが、けっして経営が専門のコンサルタントではないと理解してください。
【医療機器・医薬品卸系コンサルタント】
勤務医時代からの付き合いの延長線上に医療関連業界系コンサルタントがあります。このコンサルタントは本業のおまけ的な要素が強く、多くがやや中途半端なコンサルティングになります。コンサル料金は当然本業の取引内容に含まれていますので、安いか高いか判然としません。色々と問題が多いようです。又、開業後の経営コンサルタントとしてもやや中途半端です。業界の習慣で、医師に対してまちがいを指摘したりすることはありませんので、裸の王様的経営になる可能性もあります。
【金融機関系コンサルタント】
銀行系のコンサルタントが直接開業支援に取り組むことはまれですが、リース会社や商社系のコンサルタントは多いようです。
商社系はデベロッパーとしての本業を成立させるためにコンサルタントを装っていますが、本音は誘致ありきというケースが多々あります。先生が開業に成功しようが失敗しようが、取引が成立してしまえばよいという傾向にあるので注意が必要です。
リース会社系のコンサルタントは、リース契約をして回収ができる状態にしないといけないので、やりっぱなしということは少ないです。 しかし、それでも本格的にコンサルティングをすると本業のコストに見合いませんので、やや手薄なコンサルティングになります。
銀行系のコンサルタントも、同様にコストに見合いませんので、本格的にはコンサルティングは行いません。
系統 | 特徴 |
建設・住宅会社系 |
・ クリニックの設計 ・ 建築までは得意 ・ 開業後の運営、経営のコンサルティングはなし ・ 建てればそれで終わり |
医療機器・医薬品卸系 |
・ 勤務医時代のつきあいの延長線上なので気安い ・ 本業の「おまけ」的な要素が強く、中途半端 ・ 医師に対してまちがいを指摘せず、経営コンサルタントとしても中途半端 |
金融機関系 (リース会社、商社) |
・ 不動産、商社系は、建てればそれで終わり ・ リース会社系、銀行系はコストに見合わないため、本格的には コンサルティングは行わない |
通常、クリニックの開業に伴う打ち合わせは、トータル50~80回に及びます。開業を志した時は、ほとんどの先生方が勤務医の時期ですので、先生方との打ち合わせは、平日の夜か休日の打ち合わせになります。具体的には、基本構想の策定、場所(物件)選定、診療圏調査、事業計画作成、資金調達、建築・内装会社選定、医療器械選定、スタッフ募集、役所届出、従業員トレーニング、等々広範な準備作業があります。1回の打ち合わせで2時間程、コンサルタント1人での平均対応です。これだけでも膨大な時間をとりますが、個別の準備作業や交渉作業なども含めると、相当なコストがかかります。したがって、40~50万円程度のコンサルティング料では済みません。では「どれ位か?」ですが、相場を見ると無料は別として、100万円~300万円ぐらいの幅があります。いくらが適正かは、中々答えがズバリ出ません。コンサルティング料の価格の考え方は各種あると思います。ズバリの金額は出ないと思います。 要は、
① 「 お金を払う価値があるか 」 、 ② 「 その価値はどれぐらいか 」 、 この点の見極めです。
まず、① 「 お金を払う価値があるか 」と言う点ですが、これはそのコンサルタント(会社)の資質の判断です。多くの開業実績(フルコンサルティング《 開業準備全体のコンサルティング 》で50件以上は必要でしょう)と開業成功例(5000万円以上の年商があるクリニックが8割以上)を持っているのが手堅い判断基準でしょう。
次に、② 「 その価値はどれぐらいか 」についてですが、この判断はかなり難しいです。一つの考え方を示します。先生の時間給を出し、準備にかかる一般的な時間(200時間~300時間)を掛けて、調整するのです。 例えば、
先生の時給が1万円だとしたら、1万円 × 200時間 = 200万円。 これがコンサルティング料ということになります。 具体的な料金の適否については、やはり色々情報を収集して判断すべきでしょう。
[ ポイント 1 ] コンサルティング料 “ 無料 ” を謳うコンサルタントに注意! [ ポイント 2 ] コンサルティング会社が 「 どんな系列の会社なのか 」 を |
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