【 医院開業資金の調達について 】
先生は、医院クリニックを開業するための資金が十分にありますか? あれば以下の説明は余り必要ないかもしれません。以下は、開業資金が十分でない先生方のご参考にしていただくものです。
ご存知のように、今日の金融情勢は厳しいものがあります。金融機関の経営環境が不透明だったため、軒並み金融機関はその融資に慎重な姿勢をとっています。ただ、数年前よりは状況はいいですが、まだまだです。したがって、新規の事業融資にはかなり慎重です。しかし、適切な事業計画内容を持った新規事業であればその融資には応じています。また、金融機関も各種のものがあるので、すべての金融機関が一律に新規事業融資に応じないというわけではありません。そこで、開業資金の調達方法を整理し、できるだけ資金調達を可能にする方法をご提示します。
まだまだ資金調達の道は残されています。要は「開業を成功させるという強い意志」と「粘り」があるかです。
その2つがあれば資金調達の道は開かれます!
(1) 家族、知人等 (参照図:a)
【 家族・親戚 】 【 知人 】
よく利用される資金調達の方法です。長所、短所がありますが、まず第一に検討してよい方法です。ポイントは、身内であってもあくまでお金の貸し借りという契約関係だという事を基本認識に置くことです。変に甘えないことです。知人の場合は、当然他人との契約だと言う事を忘れない事です。
調達の裏技
先生が計画している開業の事業概要を「事業計画書(必要資金の全額、資金調達概要および予想収支の概要説明したもの)」、「診療圏調査書(先生が開業する物件の市場分析をしたもの。この調査書で開業場所が開業の成功をもたらす場所である事を各種のデータを挙げて、具体的に説明します)」を提示して、お金を借りる身内や知人に具体的に説明する事です。特に無理のない事業計画だということを説明できなければなりません。(できれば、収益的にうまみのある開業である事を説明してください。)ポイントは、開業支援実績のある専門家(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、開業コンサルタント等)と共同で事業計画書、診療圏調査書を作成し、先生の開業が安全で発展性があることを説明する事です。 |
(2) 金融機関 (参照図:b~d)
【 日本政策金融公庫 ( 略して「国金」 ) 】
創業資金(事業を興す時に利用できる資金)として不動産担保等の物的担保があれば、担保価値の範囲内で融資が受けられます。 融資額の上限は、7,200万円までです。物的担保が無い場合は、一定の条件を備えた保証人がいれば、上限2,000万円までの融資が受けられます。
現状、多い例は保証人を利用した融資です。いくつかの融資参考資料(診療圏調査、事業計画書、収入証明書、各種見積もり等)を提出すれば、比較的楽に1,000~2,000万円の融資を受けられます。(当社は、年間5~10件の融資実績がありますので、国金からの融資については、その実績により調達を比較的楽に進めています。)
調達の裏技
開業支援実績のある税務・会計事務所やコンサルタント会社と共同して説得力のある事業計画書、診療圏調査を出すことです。そして、先生自身の開業に対する決意、目標、見通しをかならず書面(決意表明書)で提出する事です(この書面作成には各種のテクニックがあり、それを押さえる事です)。 |
【 都市銀行 ( 略して「都銀」 ) 】
通常の融資と同じ取り扱いです。しかし、現在の金融不安の状況下で新規開業融資を得ることは、非常に困難です。ですから、都銀からの融資は慎重に判断する必要があります。
調達の裏技
都市銀行に対しても、基本的には上記国金と同じ方法を取ります。ただ、ポイントがいくつかあります。 ⅰ,事業性の説明です。 先生の開業が、安全で発展性のある点を説得できる資料を用意できなければなりません。この点は、上記国金と同じです。
ⅱ,信用性の説得です。 先生が、給与振込みをしている銀行や住宅ローンを借りている銀行(メインバンク)が第一標的です。
裏技は、診療報酬の口座設置を引き換え条件にして資金調達の交渉をするのです。 ここでも先生の開業に収益面でうまみがあることを具体的に見せるのです。 |
【 地方銀行 ( 略して「地銀」 ) 】, 【 信用金庫 】, 【 信用組合 】
都市銀行と同じ。ただ、都市銀行より楽な場合があります。注意点が有ります。それは、地銀に関する情報収集を綿密にし、健全な地銀、将来性のある誠実な地銀を見つけることです。それは、その地銀に先生の開業構想を話し、反応を見ることです。そのときの印象をチェックするのです。今後金融機関の選択は自院存続の要になります。したがって単に希望融資額を得られるか否かという観点だけで金融機関を選択しないことです。
調達の裏技
都市銀行に同じ。ただ、どの銀行にするかを、慎重に選択することです。この選択にテクニックがあります。基本は、開業地に支店がある地銀を選びます。 裏技としては、次のものがあります。 ⅰ,開業地の商店会のメインバンクを使う方法です。
その開業場所に商店会がある場合、商店会に力があれば融資が上手くいくケースがあります。
ⅱ,開業物件がビルテナントであれば、そのビルのオーナーのメインバンクを使うことです。
この方法は、一概にベストな方法ではないのですが、時により資金調達がスムーズに行く事があります。そのビルオーナーの力次第です。>
|
(3) リース会社、クレジット会社 (参照図:e)
【 リース会社 】
医療機器や各種設備をリース契約で調達するのは資金調達の一手段です。このリース契約は、資金調達方法としては比較的楽な方法です。ただ、その利用は、医療機器や各種設備の設置にしか利用できないため、資金調達の手段としては限定的です。リース契約は、リース会社によりその契約条件が微妙に違うので、リース会社の契約条件を比較検討する必要があります。
調達の裏技
裏技は、リース契約を変則的に利用する方法です。この点の詳細は、ここでは公表できません。 |
【 クレジット会社 】
クレジット会社には、種々の融資制度があります。その融資制度の内容をよく吟味して利用するのも1つの方法です。例えば、カードローンやリホームローンなどです。
調達の裏技
各種の融資制度があります。そこで、内容を検討して利用します。裏技的には次のものがあります。 ⅰ,リホームローンです。
このローンは、何社かのローン会社でやっています。検討に値する調達手段です。本来的な対象は、既存の建物や内装のリホームですが、変則的に新規のクリニックの内装に利用します。場合により内装費全額をこのローンで賄う事ができます。
ⅱ,カードローンです。
金利が高いのであまりお勧めではありませんが、どうしても資金的に足りない場合は、あまり金額が多くならない範囲で利用すべきです。
|
(4) 出資、投資家 (参照図:f)
【 出資 】
開業を最初から医療法人で行う場合に利用できる資金調達の方法です。発起人に出資者を加え、共同で医院、クリニックを事業として行うものです。
調達の裏技
各種のルートを使い、出資者を探します。裏技としては、分院展開をしている医療法人に分院長として勤務し、実績を出してそのオーナー院長から出資をしてもらう方法があります。 |
【 投資家 】
稀な例ですが、開業資金を投資してくれる個人、法人がいます。開業資金の全部又は一部を投資してくれますが、
先生の事業家としての素質を認め、さらに、開業に事業性を認めた場合にのみ投資をしてくれます。
- 1.調達は各種の資料を用意(決意書、事業計画書、診療圏調査書)して交渉すること。
- 2.資金調達は先生自身を売込むことなのです。したがって、自分の良い点を遠慮せず主張することです。
- 3.できれば資金調達になれた人(税理士、中小企業診断士、開業コンサルタント等)と共同して交渉する
ことです。この点を押さえるとうまく行くと思います。
*上記に関するご質問は、下記連絡先までお問合せ下さい。
「 開業場所研究会 」 運営会社
テナントアシスト・ウイン株式会社
Email:fukui@tenant-aw.jp