開業形態の基礎知識 ④ 【 医院、クリニックの承継開業 “基礎知識” 】
承継開業(継承開業)とは、医院・クリニック(診療所)を前院長から譲り受けてその診療所の経営を引き続き行う開業の形態を言います。最大のメリットは、患者さんをそのまま引き継ぐ事ができる点です。(ただ、患者さん全員を全て引き継げる保証はありません。)初年度からおおよその診療報酬の予測がつき、場合により医院を承継してすぐに黒字になる事もあります。医療機器などもそのまま使え、初期投資が少なくてすむのもメリットです。
このように書くと、「承継開業」には欠点はないように聞こえますが、次のような欠点もあります。まず、立地を選べません。そして、引き継いだ診療所が開業後数十年経過していて、内装などがかなり古くなっている場合が多いのです。また、譲り受けた医療機器も性能的に現在の製品と比べて劣っています。そのためそのままでは先生自身が望むような医療サービスを患者さんに提供できない事もあります。
「承継開業」を目指すにしても、条件の良い案件がいつ・どこの地区に現われるかは不確定です。
承継案件(承継物件)だけに絞って待っていた結果、いつまで経っても開業できなかったという事が無いようにしなくてはなりません。おおよその開業時期を明確にしたうえで承継案件が現れるのを待つべきです。そして、ある時期まで来ても承継案件が出てこない場合には、新規で開業する、といった具合に両面の開業形態を考えつつ、準備をするべきなのです。